上野国は、関東管領の失地回復・後北条氏打倒を狙う上杉謙信の橋頭保、箕輪城の長野業正・沼田城の真田昌幸ら個性的な武将が活躍し、滝川一益の侵入と逃避行、天正壬午の乱、名胡桃城事件(小田原征伐の原因)など様々な歴史舞台に彩られたが、徳川幕府創設後は譜代小藩が林立する事態となり輝きを喪失。独自の歴史と文化が醸成されず、「空っ風」の影響もあってか、今に見る没個性で殺風景な風土が育まれた(生活者の満足度は別、あくまで観光地として)。そのため群馬県には見るべき史跡が乏しく、さらにヤマダ電機・ビックカメラを輩出モータリゼーション先進地でもあって前橋・高崎の繁華街は衰退感が著しいが、豊富なバラエティを誇る温泉地群は健在、時間と資金が許すならグンマー温泉地帯探検ツアー(各温泉連泊)という贅沢な楽しみ方もできる。なお、強いて地域文化をあげるなら、群馬県は明治期の貿易輸出を牽引した生糸産業の大産地であり、富岡製糸場(国宝!)と桐生を軸に観光地化の取組みが進められている。が、世界恐慌・太平洋戦争開戦で繊維産業が壊滅してから100年近く経過しており、地域に根差した観光地形成は一朝一夕には難しいだろう。
伊香保温泉
私評

伊香保温泉は万葉集にも現れる古湯で、武田軍の療養所として真田昌幸が今みる石階段と街区を構築。群馬温泉地帯の入口に位置する好立地に加え、石段街の観光PRがウケて箱根と並ぶカップル旅行のメッカに発展。付近に渋川スカイランドパークと伊香保グリーン牧場があり、子連れ旅にも好適。