アイゼンハワー米大統領が退任演説で「軍産複合体」の危険性を警告
1961年
ドワイト・D・アイゼンハワーは連合国遠征軍最高司令官を務めた陸軍人で「第二次世界大戦の英雄」として米大統領に就任した人物だが、大統領退任演説において初めて「軍産複合体(MIC)」を世に表しその危険性を警告した・・・「第二次世界大戦まで、合衆国は兵器産業を持っていなかった。アメリカの鋤製造業者は、時間があれば、必要に応じて剣も作ることができた。しかし今や我々は、緊急事態になるたびに即席の国防体制を作り上げるような危険をこれ以上冒すことはできない。我々は巨大な恒常的兵器産業を作り出さざるをえなくなってきている。これに加え、350万人の男女が直接国防機構に携わっている。我々は、毎年すべての合衆国の企業の純利益より多額の資金を安全保障に支出している。・・・「軍産複合体」の経済的、政治的、そして精神的とまでいえる影響力は、全ての市、全ての州政府、全ての連邦政府機関に浸透している。我々は一応、この発展の必要性は認める。しかし、その裏に含まれた深刻な意味合いも理解しなければならない。・・・「軍産複合体」が、不当な影響力を獲得し、それを行使することに対して、政府も議会も特に用心をしなければならぬ。この不当な力が発生する危険性は、現在、存在するし、今後も存在し続けるだろう。この軍産複合体が我々の自由と民主的政治過程を破壊するようなことを許してはならない」。なおアイゼンハワー大統領は、個人的に岸信介首相を支持し日本の自主独立路線に寛容な態度を示したことでも知られる。1960年岸信介内閣との間で日米安保条約を更改したアイゼンハワーは、米大統領として初めて訪日する予定であったが「安保闘争」に阻まれ実現しなかった。ケネディ・ジョンソン・ニクソンを経て1974年田中角栄内閣でフォード米大統領が初来日を果し、以後オバマに至るまで歴代大統領は全て来日している。