高千穂

日向国は、日向三代神話の舞台にして神武東遷の起点(だが、何故か現皇室は里帰り墓参りに消極的、皇統断絶の傍証か…)。中世に入ると薩摩島津氏の勢力下に入るが、島津内乱に乗じて佐土原城の伊東義祐(地頭出身)が台頭し日向全域を掌握(伊東四十八城)、島津貴久の死に乗じ肥後相良氏・大隅肝付氏と結んで島津領へ攻込むが、飯野城を守る島津義弘の雑兵3百にまさかの完敗(九州の桶狭間・木崎原の戦い)、肝付氏ら大隅国人を靡かせた島津氏の逆寄せに遭い全領地を奪われた。伊東義祐は豊後の大友宗麟に泣付き耳川の戦いを惹起するも大友氏諸共に再起不能の完敗、島津氏は宗麟を臼杵城に追詰め九州制覇に大手を掛けるが豊臣秀吉の九州征伐に降参。義祐は流浪の末に客死するも子の伊東祐兵が秀吉に拾われ、飫肥藩5万石で大名に復活。この飫肥藩に高鍋藩3万石(秋月家)と島津領(佐土原・都城)を除いた日向国の大部分は天領となり(+譜代延岡藩)、地元の統一勢力・独自文化を樹立できぬまま宮崎県となった。かくして宮崎県には歴史時代の史跡が乏しく、皇祖神の軌跡を辿る古代史ロマンの旅が基本。天下に誇れる高千穂と青島を擁するが、宮崎県の観光地は総じて鉄道駅から遠いのが大問題で、日南線が志布志で途切れるのも痛い。さらに延岡~宮崎は見所が乏しいうえに殺風景で、日豊線も車旅も非常にきつい(南北断絶…)。高千穂ツアーは延岡に抜けるより熊本往復の方が有意義に過ごせそうで、宮崎空港~青島ビーチ+αの夏旅が基本となるだろう。

私評

絶賛

高千穂峡は天孫降臨の舞台に相応しい幻想空間(五ヶ瀬川は神武の長兄五瀬命に由来か、紀伊で死なず故郷に戻ったとする伝承もあり…。なお、高千穂峡への降口付近に「日本最小の水族館」がある)。博多・熊本・宮崎のいずれからも3時間前後を要するが、阿蘇山観光と組合せるのが合理的かと(延岡~宮崎の移動は殺風景で非常に辛い)。できれば高千穂神社の夜神楽に合せて宿をとりたい(ホテル四季見がお勧め)。天岩戸神社・天安河原も必訪名所で(元は村社に過ぎないが観光演出が上手)、道中の棚田の景色も良い(本邦稲作の原点。天孫族の小盆地好きは高千穂以来か…)。

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